小石丸について

以下の記述は京都にある「誉田屋源兵衛株式会社」様の資料を掲載しております。


「小石丸」と呼ばれる子の白くて小粒の愛らしい繭は、古代種に近い伝説の繭です。
明治・大正期あれほど隆盛を極めた養蚕業が、今日では衰退の一途であるということは周知の通りです。現在は、かりに絹であっても大半が外国産。国産であってもハイブリッドの繭。(交雑種)からとった強い絹糸です。衣と書いてキヌと読ませる我が国本来の絹は何処に行ってしまったのでしょうか。
 東京の中心に位置する皇居の森。その森の中で「小石丸」は綿々と生き続けていたのです。そこは「紅葉山御養蚕所」。歴代皇后によって「小石丸」は、今も養育されているのです。採れた生糸は、宮中婚礼の儀の装束や、正倉院御物復元衣装などに供されています。昨年、愛子様ご生誕のおりの「おくるみ」に使用されたことは記憶に新しいところです。
 1998年、規制緩和の流れの中で、「小石丸」は解禁されました。伝説の「幻の繭」が蘇ったのです。しかし、「小石丸」の生産プロセスは困難を極めました。小さな繭からとれる糸量の極端な少なさと、その極細の糸はあまりにも繊細だったのです。ふつうの絹織物の縦糸の数は3600本。これに対し「小石丸」は7700本。その大変な細さが分かります。その上、生育には、新鮮な桑の葉の最も柔らかい部分だけを幾度にも分けて与えなければなりません。とても兼業農家ができる仕事ではありません。


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